あの日、世界は美しかった

とてもとても

小さな、小さな世界だったけれど

きれいだったよね








気が付いたらここで暮らしていた。

それを不思議と感じていなかった。

外の世界は判らない。

結構大変な事になっているらしい。












それでもここは、まぁ平穏無事。

退屈だけど、苦しくない。

むしろ結構愉快な毎日。

私達と、この子達だけの世界。

楽しくて幸せな日々。















だけど或る日。

私達は知ってしまった。

自分たちが

何であるのかを。







何も知らなかった。

いや、そのように上書きされていた。





だから素直に理解出来た。

今まで疑問に思わなかった事。

普通に愛し合って暮らしていた事。





その記憶が、崩れる。





そうなんだ。

初めから仕組まれていたんだ。






私達の正体。

“ホモ・ギガントロプス・F・B”

不老、そして不死の細胞で構成されたヒト。

それと引き換えに得たリスク。

全細胞が欲するのは、闘争。

最後の一人になるまで殺し合う。

互いに喰らい合い、奪う事でしか生を見出せない

悲しすぎる生き物。

雌のけだもの。























それじゃ始めようか。

この子たちのために


私達の役目を、果たそう。